2011年9月アーカイブ

どうも標です。

今回は長くなりそうなので、

私のどうでもいい話はカットしてお送りします。
 

さて、前回、病気の原因は、カビ(糸状菌)、細菌、ウイルス

によるもの、とお話しました。

今回からそれぞれの菌や病気の特徴をお話しようと思います。


・カビ(糸状菌)の特徴

実は、作物の病気の中でもっとも多いのは、

このカビの菌によっておこる病気です。

このカビ(糸状菌)は分類学上は植物に属しますが、

一般的な緑色をした植物のように葉緑素
(植物は葉緑素によって光合成をしている。また、葉っぱが緑色に見えるのはこれによるもの)

をもっていないので、栄養を体外から取り入れた有機物に依存して

生きています。
(つまり、別の物体(有機物)が体外から取り入れた栄養を栄養としている、
と言うことです)

体は、太さ4から10マイクロメートル程度の細長く枝分かれした糸状。

また、その一部に胞子を作って繁殖します。

胞子には、受精によって有性的に出来る場合と

無性的に出来る場合とがあり、

有性繁殖は普通は1年に1回ですが、無性繁殖は環境が良ければ、

いくらでも胞子が作られます。

カビの菌の栄養の採り方は、腐生と寄生があります。

植物の遺体など死んだものから、栄養を取る場合を

「腐」ったもので「生」きていくと書いて、腐生と言います。

このような菌を腐生菌と言います。
(キノコは大体この仲間です)

腐生菌は生きている植物に被害を与えることはないので、

作物を病気にする恐れはありません。

もう一つの寄生は、生きている作物に侵入して栄養を取ります。

このような菌を寄生菌と言います。

そして下のように分けることが出来ます。

1.生きた植物でしか栄養を取ることができないもの
  (絶対的寄生)
  該当する菌:うどんこ病菌、べと病菌、さび病菌、根こぶ病菌など

2.いつもは寄生していますが、条件によっては腐生的な生活ができるもの
  (条件的腐生菌)
  該当する菌:いもち病菌、疫病菌、ごま葉枯れ病菌など
  大多数の病原菌がこの中に属します。

3.いつもは腐生していますが、作物の生育が弱まったときなどに寄生するもの
  (条件的寄生菌)
  立枯れ病菌、灰色カビ病菌、紋枯れ病菌など


・カビ(糸状菌)病の種類

カビの菌による病気は、その伝染の経路によって、

空気伝染性病害と土壌伝染性病害の2つに分けることが出来ます。

空気伝染性病害は、病害菌が風・水・虫・種などで運ばれる病気で、

土壌伝染性病害は、病原菌が地中にいて、

作物の根や地際から侵入して起こる病気を言います。

また、連作障害の主原因にもなっています。
(連作障害とは、同じ畑に同じ作物を連続して作ることによって起こる障害のことです。前に言ったかもしれませんが、同じ作物を作り続けると、地中にはその作物に害を与える病害虫だらけになり、自体がダメになってしまいます。そこで輪作と言う方法を取り、連作障害を回避します。)


・カビ(糸状菌)病の伝染

病原菌が伝染原から周りの作物に広がることを分散(または伝播)と言い、

分散した病原菌が作物の体に付着して、

気孔などから組織内に入ることを「侵入」と言います。
(気孔とは、植物が呼吸をする口のこと。
葉っぱの裏についています。)

侵入した病原菌はそこから栄養を取り、組織内に定着して

感染が完了となります。

そして、感染までの過程が伝染です。

カビの菌の伝染方法には次のようなものがあります。

1.種子伝染

 カビの菌が種に混入したり、種の外部に付着したり、

 あるいは種の内部組織に既にいて伝染する場合を言います。

 イネいもち病、サツマイモ黒斑病、ムギ類はだか黒穂病など

2.風媒伝染(空気伝染)

 胞子が風によって運ばれる場合で、

 地上で発病する病気の多くはこの方法で伝染します。

 イネいもち病、ムビさび病、ナシ赤星病など

3.水媒伝染

 雨や水やり(川などから水を引っ張ってくる場合も含む)

 などで伝染する場合を言います。

 イネ黄化い縮病、ジャガイモ疫病、キュウリべと病など

4.虫媒伝染

 虫が病原菌の胞子を運んで発病させる場合を言います。

 ウリ類炭そ病(ウリハムシ)、ナシ赤星病(ハチ・アリ)など

5.土壌伝染

 地中に生存する病原菌が、根や根毛や地際部などから侵入して

 病気を起こす場合を言います。

 立枯れ病、果樹の紫紋羽病、トマト・ナスのいちょう病、ハクサイ根こぶ病など

また、カビの菌の作物組織への侵入方法には、

表皮侵入、気孔侵入、花器侵入、皮目侵入、傷口侵入などがあります。


・発病

作物の組織内に侵入したカビの菌は、栄養を吸収しながら発育・蔓延します。

そのために作物はさまざまな症状を表しますが、これを発病と言います。

そのとき作物に現れる病的変化(色が変わったりとか)を病徴と言います。

また、発病の中期になると、菌糸や胞子などが作物の表面に表れてきますが、
(表面からカビが生えてきてるとか)

それを標兆と言います。

病徴や標兆はその病気の特徴をよく示すので、病名を判断するときに

重要な手がかりとなります。

病名さえ分かれば、手の打ちようがあると言うものです。


次回は細菌の話です。

まったく、最近の細菌ときたら・・・


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